モラルハラスメントと離婚について

●モラルハラスメント(モラハラ)とは?

モラルハラスメント(モラハラ)とは、精神的暴力、嫌がらせのことで、家庭内におけるいじめのようなものです。具体的には、「言葉や態度による嫌がらせ」、「精神的暴力」のことを言います。

例えば,脅迫的な言葉や相手方を経済的に不自由な状態に置く,携帯電話やメールの細かいチェックや,外出先・レシート等の執拗な確認などが典型的なものとして挙げられます。

 

●モラルハラスメントと離婚裁判

それでは,モラハラがある場合に,直ちに法律上の離婚原因がある,つまり「法律的に離婚できる」ことになるか,ということになると話は異なる様相を呈します。
モラハラの主張は,離婚訴訟(=裁判)において,往々にしてなされることが多い主張の一つですが,裁判官にどれほどひどいモラハラがあったかを訴えてみても,裁判官の反応というのは芳しくない場合もまま見られます。
これは,モラハラあったという「証拠が存在しない」というパターンが良く見られるものの一つです。つまり客観的な録音やビデオ等が存在せず「言った言わない」の議論になってしまうと,裁判官としては「モラハラがあった」という判断を行うことができないという考えによると想定されます。
また,法律上の離婚原因がある(=法律的に離婚できる場合)場合とは,不貞(=配偶者以外との性的交渉)をはじめとして,夫婦の婚姻関係が破たん,つまり「もう取り返しのつかないほどダメになってしまっている」という状況になっていることを要するとされていますが,裁判官としては「モラハラはあったが,そこまでの状況にはなっていない」という考えに至ってしまうということが想定されます。

 

●離婚への道のり

上記の通り,残念ながら現在の裁判実務においては,法律的なまた証拠的な面としては,モラハラだけを理由として離婚裁判で勝訴まで行くことというのは,簡単ではありません。
では,モラハラを行う配偶者が離婚に応じてくれない限りは,絶対に裁判離婚はできないのか,ということになると,必ずしもそうではありません。
上述の通り,法律上の離婚原因がある,つまり夫婦の婚姻関係が破たんしていると認められるために実務上重要視されている要素として,「別居をしているかどうか,またその期間が長いかどうか」ということがあります。
つまり,モラハラだけでは裁判離婚が認められないという状況であったとしても,別居に踏み切り,一定程度の期間の別居期間を設けることができれば,裁判となったとしても離婚が認められる可能性もあります。

 

●早期の弁護士へのご相談を

これまで書いてきました通り,モラハラがあるという事情だけでは,必ずしも離婚までの道のりが確保できているとは言えないということになってしまいます。
しかしながら,弁護士との面談によって,モラハラ被害のお話をうかがう中で,合わせて法律的な観点から,他の離婚原因が見つかることもありますし,裁判まで行かずに協議や調停で離婚を成立させることができるケースも多数存在します。
また,モラハラを受けている場合に,別居などの次に取るべき一手をご助言できることも多々あります。特にモラハラを受けている方は,一人で考えこんでしまうということが多く,モラハラを行う配偶者から離れることに躊躇を覚えてしまう方もまま見られます。そのようなご相談者の方にも,弁護士から適切な今後の行動のアドバイスをさせていただくことで,お力になれると考えています。

モラハラに悩まれている方は,お一人で悩まず,ぜひ一度弁護士へご相談ください。

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